Ar18-37-2:館での語らい

貴方はシサンに質問を投げかけます。

ーー自分は死んだのか?


シサン「ええ。厳密には、『あなたはおそらく死んだのです』。ですが、先ほども申し上げた通り、貴方がここにいるという事実がある以上、貴方が本当に死んだと断ずるには、まだ少し猶予があるのです。ここは最も遠く、捻れた位置にある世界なので」


死の事実を失った者が訪れる、墓碑銘の底の世界《アルカディア》。

死の事実を失ったが故に、彷徨う魂の貴方は、共同墓地に併設されたシサンの館へと辿り着きました。

今の貴方は、さながら、シュレーディンガーの猫の下に隠れたネズミ。箱を開けられて猫は死んでしまいましたが、猫の下の貴方はまだどちらの状態でもない、生きた死にネズミであり、死んだ生きネズミでもある。だから可能性は覆せ得る。というのが、シサンの語る理のようです。

ーーこの館は?


シサン「貴方たちのような存在の為に設えられた場所です。設備はなんでも、好きに使ってくださって構いません。館にいる間は安全です。ここには時がありませんので。それに、ここは安らげるでしょう?旅で傷ついた貴方を癒すこともできます。貴方が望むなら、ここへずっと留まることも、もちろんできるのですよ」


館は外からの見た目に比べてかなり広く、生活に必要なものはすべて揃っています。どうやらそれぞれに自室も割り当てられているようです。もちろん、貴方の部屋も。
館にはシサン以外にも暮らしているものがいるようです。その中には、どうやら貴方と同じ存在も。

シサンのいう通り、この中には時の流れがないので、ここにいる間はゆっくり過ごすことができるでしょう。負った傷も、館にいれば次第に癒えるようです。


ーーシサン、きみは誰なの?


シサン「館の主人は今は不在ですので。私はただの管理人代行。貴方のサポートをいたします」


シサンは、140センチほどの球体関節人形です。どういう原理で動き、喋っているのか、細かい機構については謎に包まれています。人形に性別はあるのかないのか分かりませんが、その意匠を見るにシサンは少女と呼んでいいでしょう。

長いシンクブルーの髪(色については:42よりシンクブルーの項目をご参照のほど。)、灰青の瞳。黒のワンピース。赤い靴を履いています。

シサンは、館の主人という人物にこの中のことを任されているようで、シサン自身は館の外に出ることは無いようですが、館内でのことなら、全面的にサポートを行ってくれます。

ーー自分がここでなすべきこととは?


シサン「旅と、試練です」


ーー試練?


シサン「わかりやすく言うと、共同墓地の先には魔物と呼ぶべき者どもが居るのです。遺骸の燃え残り…私は煙の魔物《ヒュメ》と呼んでいますが。ヒュメは生命、其の残り香。彼らを倒していけば少しずつ貴方にも活力が戻り、いずれ貴方の死も取り戻せるはず」


館の庭の外にある共同墓地を越えると、そこは、ヒュメという名の魔物のうろつくフィールドが広がっているとシサンは言います。

フィールドはななも平坦な道とは限りません。沼や焦土、荒れ地に深い森、洞窟ーー危険な場所であり、そこに蔓延るヒュメは手強く、貴方の脅威となるでしょう。

しかし、ヒュメを倒す試練を乗り越えることによって、彼らから生命力を得ることができ、同時に記憶も少しずつ取り戻していくことができるようです。

繰り返しますが、前提として、貴方はおそらく死んでいるのです。その思考実験的オブザーバブルを覆すためのーーいえ、難しい話はやめましょう。

とにかく、貴方が生き返るたった1つの方法は、ヒュメを倒し貴方の死の真実を取り戻すこと。それだけです。

ーー死を取り戻せなかったらどうなる?


シサン「死を取り戻せないとどうなるか?……あなたの魂は燃え尽き、その遺骸は魔物に堕ちる。それだけ、です。ああ、フィールドからここへ帰ってくる為には?『青を心に1、2と数え』てください。簡単でしょう?」


死を取り戻すことをメタ的な意味で…諦めない限り、貴方は死ぬ事はないようです。
だって既に『おそらく死んでいる』状態だから、相当なことがないと二度も死ねません。byシサン。

もし行動力の限界が来れば、呪文を唱えることでさながらゲームみたいに共同墓地にリスポーンされるようです。


シサン「では、共同墓地の門の鍵を渡しておきます。ご武運を祈っています」


タイムリミットは、猫がどけられ、ネズミの貴方の真実が暴かれたーーその時まで。

あなたの、死を取り戻す旅がはじまります。

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